トップ対談:熱意ある行動と誇りを胸に 社会に新たな価値を提供し、豊かな未来を創りだす企業になる

共同印刷グループは、持続的な成長を実現するために、事業構造と組織の変革に積極的に取り組んでいます。本報告書の発行にあたり、多数の日本企業に対して、環境経営・CSR経営の分野で幅広くご活躍されている ピーター D. ピーダーセン 様をお迎えし、当グループの取り組みと社会価値の創造について対談を行いました

変革期にある印刷業界をしなやかに生き抜く


ピーター D.ピーダーセン リーダーシップアカデミーTACL代表 一般社団法人NELIS共同代表
ピーター D.ピーダーセン 様
リーダーシップアカデミーTACL代表
一般社団法人NELIS共同代表

1967年デンマーク生まれ、1995年より日本で働く。2000年に環境・CSRコンサル ティングを手掛ける(株)イースクエアを東京にて共同創業し、2011年まで代表取締役を務める。多数の日本企業に対して、環境経営・CSR経営に関する助言を行ってきたとともに、LOHASなどの新しいコンセプトを海外から日本に紹介。

ピーダーセン まず、2016年の事業概況はいかがでしたか。

藤森 中期経営方針「強みを活かし事業領域を拡大して利益を創出する」に基づき、一丸となって取り組んだ結果、2017年3月期における売上高は945億5千3百万円(前期比0.6%減)、経常利益は40億9千6百万円(前期比17.6%増)となり、利益は、2001年以降最高の結果となりました。これは、生産設備の再配置や省力化設備の導入による生産の効率化と採算重視の営業活動、および、グループとしての総合力をより発揮できる体制を構築するため、子会社の再編を進めるなどの施策の成果だと考えています。

ピーダーセン 良い結果ですね。事業領域ごとの状況はどうでしょうか。

藤森 私たちの事業は、大きくいえば、印刷などを中心とした「情報系事業」と、包装資材などの「生活・産業資材系事業」で構成されています。情報系の事業については、少子高齢化という社会背景もあり、従来の印刷だけでは成長が望めません。そこで、印刷だけでなく、たとえばマーケティングから始まって、最後は物流まで、トータルの形で事業を請け負うという、販促支援・業務支援系にシフトしようとしています。そのため、事業別に配置していた企画部門を整理統合し、トータルソリューションを一層進めるための体制を整備しました。一方「生活・産業資材系事業」では、競争力の核となる技術開発力を強化していくことが最大の課題です。特に、ラミネートチューブは日本でトップシェアを占め、歯磨き粉向けだけでいえば50%近いシェアを押さえています。さらに化粧品などの分野に拡げていきたいと思います。また、産業用資材では、医薬品や非常に精密な電子部品に採用されている高機能フィルムの拡大を進めています。今後、伸びるのは医薬系です。世界中で増加している糖尿病の検査キットのパッケージにも、当社の製品が使われ始めており、将来、世界的に広がっていく可能性を秘めています。

私たちのアンカリング(よりどころ)は 「お客さま」からはじまる

ピーダーセン 印刷業界は変革期にあり、対応力を高めていかなければなりません。そのエッセンスとは何か。私の考えでは、本当にしなやかで強い企業のエッセンスは、トリプルAに凝縮されています。アンカリング(Anchoring)、自己変革力(Adaptiveness)、社会性(Alignment)です。危機に強い体幹があり、社員にとっての働きがいもある企業はこの3つを備えています。まず、「アンカリング」について、共同印刷のよりどころはどこになるのでしょうか。

藤森 康彰 共同印刷株式会社 代表取締役社長
藤森 康彰
共同印刷株式会社 代表取締役社長

藤森 創業してからの120年間を振り返ると、最大のよりどころは、やはりお客さまです。私たちは印刷の担い手として、日本の文化を背負うという誇りを持って仕事をしてきました。その結果、素晴らしいお客さまとの長いお付き合いが続き、人間関係も何代にもわたって築かれました。これは私たちの強みの一つですし、しなやかさを追求していく上では、欠かすことができない要素ではないでしょうか。

ピーダーセン 「アンカリング」を考える時に、ミッション、ビジョン、バリューだけではない、何かが足りないと思っていました。なぜ日本には老舗企業がこんなに多いかというと、「Integrity & Trust(誠実さと信頼)」だと思うんです。まさに「契約を超えた関係」ですね。
 次の「自己変革力」ですが、やはり、社会や顧客に対してこんな価値を提供しているという自負心のもと、イノベーションを起こしていく力が必要だと考えますが。

藤森 以前から取り組んでいるのが、ITの強化です。以前はIT技術者が各職場に所属しており、リソースとして生かしきれていませんでした。そこで、各職場から一旦引き抜き、3年間で解散するという前提でIT統括本部に集約しました。能力の見極めと再研修を行った上で、最適な部門に最適な人材を配置するためです。4年かかりましたが、現状では、IT技術者が適材適所で力を発揮しています。

ピーダーセン 非常に面白い取り組みですね。

藤森 特に若手社員には良いチャンスであり、刺激になったと思います。

ピーダーセン 日本企業にとっては、入社4~5年目から30代までの層にどう効果的に挑戦、創造するチャンスと権利、つまり「License to Create(創造する権利)」を与えるかが大きな経営課題になっています。

藤森 もちろん、中堅やベテランの経験や判断は貴重です。しかし、革新的な挑戦をする時には、若い世代をトップにおき、フラットな組織にして、いわゆるチームのような形、ハイブリッド型で混在するような組織をつくっていかなければいけないと思います。一事例として、まんがコンテンツなどを配信する子会社があるのですが、従業員は多国籍ですし、役員は40代前半。世界中を飛び回っています。

ピーダーセン 特に若手は、「License to Create」を持てない会社には長くいない傾向にあります。最近、健康経営とか働き方改革といわれています。マイナスをゼロにするのは結構ですが、その上にある自己実現や本当の働きがいは、「License to Create」が与えられていてこそだと思います。

社会に貢献するエクセレンスカンパニーへ

ピーダーセン 3つめの「社会性」でいえば、CSRの枠を超えて、いかに社会とベクトルを合わせられるかということです。そこでトレード・オン※1のベクトルを設定していく必要があります。

藤森 日本企業の多くは自己完結型で事業を行っています。私たちはそれをアウトソーシングしていただくことで、より品質の高いものをお客さまに提供し、結果的にお客さまのコストダウンや生産性向上に寄与することで、社会的にも貢献できると考えています。

ピーダーセン 環境負荷も下がりますね。

藤森 印刷会社はいろいろなノウハウを持っています。それが他の製造業にはない強みです。ですから、お客さまが自前で行っている多様な業務に横串を通し、ビジネスモデルにした形でまとめて当社が請け負い、社会に還元する。たとえば、今、地方再生を目的とするブランディングのお手伝いもしていますが、多くの自治体は個々の自治体の中だけで全部完結する仕組みになっています。当社が加われば、技術やネットワークなどの知見で多角的につなぐ役割を果たせます。今後は、そうした資産を水平展開し、地域創生にも貢献したいと考えています。

創立120周年を機に「共にある、未来へ」

ピーダーセン 今年は創立120周年ということで、社員の皆さんとともにCI※2を行ったそうですが、アンカリングの再定義という視点からも良い取り組みだと思います。実感はいかがですか。

藤森 CIで生まれたのが、「TOMOWEL(トモウェル) 」というコーポレートブランドです。メッセージは「共にある、未来へ」で、良い関係を築くという意味です。共同印刷の「共」が入っていますが、社員と協力会社があり、お客さまがいて、その先のエンドユーザーがいるというサプライチェーンの中で生かされていることを再認識した結果、紡ぎ出された言葉です。120周年を機に策定したこのCIをしっかりと打ち出すことで、私たちが持っているものを形にして、社会に発信し、共同印刷の価値観や企業姿勢をご理解いただくことをめざしています。私たちは、このCIを、当社の次の時代へのアンカリングとしながら、社員の誇りと熱意と行動で、社会に新たな価値を提供し、豊かな未来を創りだす企業になることをめざしていきます。

TOMOWEL 共にある、未来へ

※1 社会・自然環境と好循環を生み出す関係であること。トレード・オフ(二律背反)の反対
※2 Corporate Identity の略称。経営を根本から見直し、企業のあるべき姿を明確にし、社会に発信すること

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