Special2

EPISODE 02

革新技術で、劇的に
仕事を効率化させる

FullScanCode®開発プロジェクト

IT技術開発部

細金 豊

2005年入社
環境情報学府 情報メディア環境学専攻

「FullScanCode®」の開発リーダー細金豊は、大学でデータベースを学び、就職に際しては、ソフトウェア開発の仕事を希望していた。大規模なソフトウェアだと一部しか担当できないので面白みがない。開発するソフトウェアの企画、開発、リリースまで、一連のサイクルに携わりたいと思っていた。社員とのコミュニケーションを通して、ここなら希望がかないそうだと感じたのが共同印刷だった。
入社以来、希望通り一貫して、画像認識の研究開発の最前線を走ってきた。過去にもいくつかの共同印刷独自の画像認識技術の開発を進め、「FullScanCode ®」の開発においてもリーダーを務めた。開発の最前線に立ち、いくつもの失敗を経験して、たどり着いた革新技術だった。
「ソフトウェア開発では品質を上げるために慎重に考えることが大切です。ですが、慎重になりすぎず、すばやく行動を起こすほうが有効な場面が多かったかなと思います」。

発端

一つひとつでは、日が暮れる

2013年、二次元コードは日常生活で広く活用され、製造業や流通業でも導入が進んでいた。倉庫の箱には一つひとつIDをふった二次元コードを印字。これは商品A、あれは商品Bと印をつけ、一個一個スキャナーで読み取ってモノを管理する。人間の目による識別と違って正確で便利なため、物流や在庫管理の現場でも広く用いられるようになっていた。ところが、商品の数が数千、数万と膨大な数になると問題が発生した。一つひとつの読み取りでは作業時間が増え過ぎ、重労働になっていたのだ。そこに細金は注目する。
細金がリーダーを務めるIT技術開発部が開発したのは、複数の二次元コードを一度に読み取ることができる「FullScanCode ®」。それまでの、“二次元コードは一つひとつ読み取るもの”という常識を覆す画期的な開発だった。
「一個ずつ認識しているから手間がかかる。圧倒的な効率化を実現するには読み取りスピードを上げるくらいではダメで、もっと別の発想が必要だと考えました。複数のコードを一括で認識できれば、仕事は劇的に効率化できる。そうすれば3人分の仕事が1人で済むようになるかもしれない。この仮説に基づいて、新しい二次元コードの開発が始まりました」

chapter1

展示会出展

しかし、企画段階ではそれほどの賛同は得られなかった。細金は、他の開発テーマの合間に新しい二次元コードを作成し、読み取りソフトを試作した。
そして2015年、細金はある展示会の自社ブースでデモを行う。二次元コードが貼られた数十の箱の前に立ち、おもむろに取り出したスマートフォンのカメラで撮影した。一気に読み取られる数十個の二次元コードに、展示会訪問者は一様に驚いた。
「まず見て、ビックリしていただく」。それが細金の狙いだった。その思惑は的中。デモがお客さまの目を引き、この技術に可能性を感じたお客さまから、さまざまなお声がけをいただくことになった。
「同時にたくさんの荷物がさばけるので仕事の効率化が劇的に進み、人件費が抑えられます、と訴えました。ただ、新しいコンセプトの技術なので、専門家ほど考え方を受け入れていただくのが難しかったですね」

どこにもない技術

なぜ共同印刷が?

なぜ共同印刷に「FullScanCode ®」の開発ができたのか。その背景を少しさかのぼってみよう。
「私は入社以来一貫して画像認識の研究開発を行い、『ぱとりしあ®』や『ワープショット』という共同印刷独自の画像認識技術の開発に携わってきました。これらの技術の特長は、カメラ画像の画質が悪くても、高い認識精度で素早く認識できること。フィーチャーフォンなどのカメラ画像認識ソフトの開発で積み重ねた経験の結果です」
この特長を、二次元コードでも生かせると細金は考えた。 すばやく、正確に認識できないと、作業者に負担がかかる。一方で、作業の現場は、倉庫のような薄暗い場所だったり、二次元コードが擦れて傷がついていたりと、画像認識にとって難しい条件が揃っている。しかし、活用場面こそこれまで行ってきた画質認識とは異なるが、技術的には共通点が多かった。
培ってきた画像認識技術を生かし、新たに製造や物流現場の業務効率化に挑む。それには名刺代わりとなるようなわかりやすい差別化が必要と考えた。そこで二次元コードの高い機能性に、「複数のコードを一度に読み取る技術」を加えることをめざした。
これが共同印刷にしかできない技術となり、また作業の効率化につながる技術として、お客さまの注目を集めることになった。
最近、嬉しい報告が細金のもとに届いた。 棚卸し作業の効率化をめざすクライアントの担当者からの知らせだった。 「部材の棚卸し作業の効率が6割も短縮されました」

chapter2

広がる可能性

可能性の扉

業務効率化を劇的に進める「FullScanCode ®」はクライアントからの引き合いが多い。採用件数も増え、実績を積み重ねる段階にあるが、細金はすでに次のステージを見据えている。
「画像認識の技術の可能性は、こんなものではない」
一昔前に比べると、考えられないほどカメラが増え、さまざまな用途で活用されるようなっている。スマートフォンには高性能なカメラがあり、自撮りなどで楽しまれている。空港やイベントには本人確認のため顔認識のシステムが導入されている。お店でネットワークカメラの画像から人の動きの導線や年齢などを分析し、店舗づくりに役立てようとしている。
画像認識技術を活用したビジネスは、これからも多種多様に増えていくだろうと細金は言う。 「画像認識は、現在注目されているAIやIoTにも関係が深い技術です。共同印刷としてもこれまで得られた画像認識技術と新しい技術を組み合わせることで、お客さまの課題解決に役立てる場面が増えていくと考えます。また、そうした課題の一つに、これまで取り組んできた作業効率の改善があります。少子化などの影響で今後さらに深刻になると言われる人手不足に対して、効率改善のニーズは大きいと考えています。そこには当然、FullScanCode ®で得た経験が大きく生きると考えています。」
具体的には?と聞くと、「今はまだ言えない」と細金は笑った。しかし、細金の頭のなかには、独自の画像認識技術によって新しいサービスが生まれ、企業のさまざまな活動を支援するシーンがイメージできているのだろう。
共同印刷の画像認識技術は多くの可能性を秘めている。
大きな可能性の扉がそこにはある。

chapter3

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