29中期経営計画 人口動態の変化、デジタル化の浸透など将来的に予想される外部環境の変化は、印刷業界に大きな影響を及ぼしています。共同印刷のビジネスにとってもそれは例外ではなく、この劇的な変化に対応し、持続的に価値創造を行っていくためには、事業内容および意識の変革が必須と考えられます。今回、価値創造マテリアリティという形で、将来に向け共同印刷がチャレンジすべき課題を明確化したことは、こうした点からも時を得たものと言えます。今後は、この特定された3つの価値創造マテリアリティを軸とし、それぞれに対しての具体的な取り組みを明確化し、指標・目標の設定と進捗の把握を継続的に行うとともに、多様な社員とのエンゲージメントと、意識の統一を通じてそれぞれの業務に浸透させていくことが重要と思われます。「TOMOWELが描き出す10年後のミライ」という大きな 2030年の社会の姿や、わが国の課題などを前提に、長期的視点に立って価値創造につなげるマテリアリティを特定されたことは、大変意義のあることだと考えます。内容的によく練られ説得力を持ったものですし、社内外の意見を十分に反映させた議論のプロセスも、経営に組み込むためにとても価値あるものであると考えます。 企業セクターは、持続可能な社会の実現のために強いリーダーシップを発揮することが期待されています。ESGという経営基盤領域の上に、生活・社会・地球という価値創造領域を位置づけたのはわかりやすい考え方ですが、実践においては両者の一体化を図り、ESGそのものを価値創造の重要なドライバーにしていくことが、今後のさらなる大きな価値創造につながるものと考えます。 課題分野としては、国連ビジネスと人権に関する指導原則に則った人権への取り組みや、気候危機と並ぶ重要課題財務戦略事業戦略LRQAサステナビリティ(株)代表取締役損害保険ジャパン株式会社経営企画部 シニア アドバイザーガバナンスデータ集サステナビリティ目標を具体的な取り組みに落とし込むためには、このマテリアリティが有効なツールになると考えられます。2022年度以降、その進捗を外部の目線も取り入れながら経営レベルで評価し、その結果と課題を継続的に情報開示していくことが期待されます。である生物多様性への取り組みに、さらに力を入れていただきたいと思います。また、戦略と結び付けた指標の設定を行い、成果測定や評価においては社会的インパクトの視点も盛り込んでいただきたいと考えます。 社会からの期待は変化し、ますます高まることが想定されます。ステークホルダーとの対話を不断に続け、さらなる高みをめざしていただきたいと思います。有識者コメント関 正雄氏冨田 秀実氏
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