3中期経営計画 生活者の価値観や行動様式の変容や少子高齢化、デジタルシフト、環境意識の高まりなどは一過性のものではなく、今後も不可逆的かつ加速度的に進行していくでしょう。 当グループでは、持続的な発展の核を生活者、社会、地球環境の3つの領域に求め、社会の変化を成長のチャンスととらえて新たな価値を提供することで、持続的な成長に取り組んでいきます。 生活者の領域では、モノが行き渡って溢れている現在、豊かさの尺度がモノから心の豊かさに変化していくのは自然な流れです。当グループも生活者の変化に合わせて提供価値の在り方を変えていかなくてはなりません。従来の顧客企業のニーズを解決していくビジネススタイルから、自分らしいライフスタイルの実現やさまざまな体験価値を求める生活者に寄り添い、心豊かな生活をサポートしていく、アウトサイド・イン・アプローチによって事業を強化していきます。まずは当グループが培ってきた情報コミュニケーションの強みを生かせる、働き方や学び・趣味などの生涯学習、自己実現のための体験価値の提供などに注力し、マーケティング機能や企画・開発力を背景に、新たな成長機会として取り組みを進めていきます。 社会の領域では、急速な都市化の進行と地方の過疎化により、都市と地方との格差が浮き彫りになり、人々の生活を支える行政、金融、医療・介護・健康、交通などの公共サービスが転機を迎えています。特に人口動態の変化による生産労働人口の減少や、超高齢社会の到来による公共サービス提供側の業務負荷の増加、サービスを受ける側の生活利便性の低下などが課題です。誰もが、いつでも、どこでも、安心・便利に利用できて、財務戦略事業戦略サステナビリティ少ない人数でも運用可能な公共サービスへの持続的なアクセスの提供は、国や地方自治体、民間企業が共に取り組むべき重要課題でしょう。解決の鍵は、IoTやビッグデータ、AIなどのデジタルテクノロジーの活用です。ただ我々はシステムインテグレーターではありませんので、その役割は培ってきた情報セキュリティや情報コミュニケーションの強みを生かした、人とデータをつなぐ人間本位なデジタルサービスの開発と提供だと考えています。中でも強力な顧客基盤を背景に、ニーズ、シーズを捉えられる健康分野や金融分野、行政分野の3分野に注力し、誰もが安全で利便性の高い公共サービスの提供を通じて、持続的な事業基盤を確立していきます。 一方、環境問題は人類共通の課題です。気候変動対策や循環型社会への移行などは、事業を通じて取り組んでいかなければなりません。中でも我々が供給する製品で最も環境に影響を与えるのはプラスチック包材でしょう。プラスチック包材は医薬品や食品の安全性や品質維持に貢献し、生活者の健康と豊かな生活を支えている自負があります。一方、石油からできているプラスチックはCO2の塊であり、使用後に廃棄されるワンウェイプラスチック包材の抑制は、今後の包材ビジネスを左右すると考えます。この課題に取り組むことは国内No.1シェアを持つラミネートチューブや高機能包材を提供する我々の社会的責任であると同時に、大きな成長の好機と捉えています。そこで、EUで先行するサーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に焦点を絞り、省資源かつ循環可能で世界に通用するプラスチック包材の開発を進めています。まずは減プラスチックや、他素材への変更などから着手していますが、最終的な目標は100%リサイクル素材による100%リサイクル可能な包材の実現です。資源の有効な活用とサプライチェーン全体のCO2排出の抑制を両立するとともに、廃棄物ゼロ社会の実現に向けて開発を進めていきます。同時に長期保存性を持つ高機能包材で世界規模の課題であるフードロスにも取り組みます。 こうした動きを加速させるために、研究・開発部門に、環境専門の部署を設けると共に、環境配慮型製品「TOMOWEL ガバナンスデータ集激動する社会の変化から、次の成長機会を創出する生活者の多様なライフスタイルに寄り添い、豊かさと幸せを実感できる暮らしをつくるスマートな公共サービスで、誰もが安心・便利な社会をつくる地球の恵みを循環させる革新的なパッケージとサービスで、サステナブルな未来をつくる事業環境認識と3つの成長領域
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