● 新開発の衛生材料23中期経営計画財務戦略サステナビリティ木質材料(MDF)業種の繊維・アパレルのカテゴリーへの参入を果たしたことは大きな収穫だったと思います。 1990年代をピークにデジタルデバイスの普及や価値観の変容によって、印刷市場は縮小に転じていきます。2020年代に入ると市場規模はピーク時の半分以下にまで縮小しました。当社を含め印刷各社の最大の課題は、将来、事業の柱になり得る新しい事業の創出です。従来の事業の延長線上に居座り続けていたのでは、収益力も成長力も望むことはできません。これからはイノベーションのジレンマから脱却して、既存事業の印刷やWebなどのデジタルメディアとは違った新たな領域やマーケットにも挑戦していく必要があります。そのために存在しているのが研究開発部門です。我々には印刷業界で民間初の研究室を設置して以来、長い間に築いてきた知見がありますから、その価値を最大化するために研究開発投資を進め、イノベーションを通じて成長し、自社と社会の変革を目指していくことが、自社はもとより、株主、投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまの期待に沿う事と考えています。いる銀・銅・その他の有害物質を含まないので、欧州化学機関(ECHA)などの海外の殺生物性製品規制に対応可能な、人体にも環境にも優しい材料です。 新型コロナウイルスが収束しても、地球温暖化が進んでいる限り、新たなパンデミックが起こる可能性があります。また、世界には衛生環境が悪く、医療水準が低い地域がたくさんありますから、そういう地域をどう守るかは大きな課題です。人口減少が始まった国内だけに目を向けるのではなく、世界に価値を提供し、貢献することができる企業を目指したいと私たちは考えています。活用できる領域があまりに広く、現在、用途の絞り込みを行っておりますので、ぜひ今後の展開を期待していてください。ガバナンス8ヵ月後塗工なしデータ集樹脂+衛生材料事業戦略イノベーションのジレンマからの脱却 赤外線は地球全体に降り注ぎ、誰でも無償で利用することができます。この自然の力を利用した製品のマーケットは世界に広がっています。私たち技術開発本部ではSDGsの“地球上の誰ひとり取り残さない” という考え方に共感していますし、それを実現することは開発者としての使命と考えています。自分たちが生み出したこれまでにない価値を、多くの人に享受してもらうために、人間が生きるうえで欠かせない衣食住の中の一角を担う“着る” という商材からスタートしました。 当グループは126年もの間、顧客企業の求めるニーズに応えるビジネスモデルを続けてきましたが、これからはそれまでの事業基盤が通用しないフィールドに飛び出し、先読みができない時代の中で、価値創造に挑んでいかなければなりません。いままでは革新的な技術や素材を開発しても最終的に製品化して商品が売れるか否かは顧客の実力次第でした。私たちはそこから一歩踏み込んで、技術を開発だけでなく、具体的な製品とエンドユーザーが得られるベネフィットまでのビジネスプランを提供するようにしています。共同印刷が世の中に新しい価値を提供できることを明確に示すことによって、まったく新しい異次なるイノベーションへ 赤外線吸収素材を武器に、新たな分野へ挑戦するにあたって、当初は社内でも半信半疑という状態でしたが、今では皆が期待を持って聞いてくれていますし、体制や開発費などの社内投資も増えましたので、これらを推進エンジンとして拡大に努めています。一方で、新素材への挑戦は始まったばかりで、まだまだ挑戦していきたい分野が数多くあります。 すでに、次に続くイノベーションの種として、衛生材料という分野に着手しています。開発しているのは、新しいタイプの衛生材料で、触るだけで、新型コロナウイルスやノロウイルスなどのウイルスをわずか1分で不活化することができます。 安全性の高い無機物質(金属酸化物)で構成されており、ウイルスだけでなく、菌やカビといったレベルのサイズが大きいものまで不活化することできました。また、欧米で規制されて
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