4なくなるのかといえば、そうではありません。印刷と聞くと、印刷機から刷り上がった紙が次々と出てくるイメージを持つ方も多いと思いますが、これは私たちのビジネスの工程の一部でしかありません。私たち印刷会社は、印刷というアウトプットを行う前の段階で、情報加工や情報処理を行っています。情報を収集し、企画し、コンテンツを創り出し、加工してデータに変換する川上の工程は、アウトプットが印刷でなくなった場合でも変わることなく存在するものであり、そこに私たちの長年にわたって培ってきた創造力や技術力が宿っています。また、この工程はAIやイメージングなどの技術革新によって、近年大きく変化してきました。お客さまからデータを預かり、分析、加工し、付加価値を付けてお客さまに戻すアウトプットの形態も急速に増えてきました。また、機密性の高い情報を取り扱ってきた長い歴史があるため、今では金融や医療、健康に関わる情報などセンシティブな情報を高セキュリティ環境で保持するシステムを確立しています。当グループには印刷を通じて、情報に関わる上流工程と下流工程を一元的に管理し、アウトプットまでの工程を自社完結型で実現している大きな強みがあるのです。 つまり、当グループにとっての印刷の定義は様変わりし、むしろ、かつてないレベルで大きく拡がっています。もはや印刷という言葉で括ることが難しいほど、すそ野が広いビジネスになったと考えています。その中で、当グループがどのような未来を描き、どのように社会に価値を提供していくのか、これから策定に着手していく長期戦略は、それをより明確に示すものにしていく必要があると考えています。 地球温暖化による気候変動の影響で、世界各地で異常気象といわれる変化が頻発しています。こうした影響は、人の営みやすべての生物に影響を与えるとともに、私たちの事業環境にも影響を与えています。自然資本の行き過ぎた利用を抑制し、自社の製品・サービスを通じて、持続的な社会と地球環境を維持・向上させることは、企業の持続的な発展にも欠かせないものです。当グループでは包装材や梱包材料を中心にさまざまな生活・産業資材を扱っており、環境配慮型製品を社会に供給することが急務であると認識し、資源を循環する持続可能なパッケージの開発を進めています。たとえば、医薬品や食品の安全性や品質保持に欠かせないプラスチック包材の減量や、生物由来プラスチックや再生可能プラスチック、紙などへの置き換え、全く新しい包装材への代替などを進めています。一方、長期保存性をもつ高機能包材ではフードロスの削減に向けた取り組みも進めています。こうした環境配慮型のパッケージは「TOMOWEL NEXT PACKAGING」という独自ブランドでマーケットへの展開を図っています。当グループは民間印刷会社で初めて研究所を創設した歴史を持ち、技術開発のDNAが根付いています。これらの開発への投資をさらに加速し、社会課題を解決する製品・サービスの提供を早期に実現したいと考えています。 こうした社会起点のイノベーションを生み出すにあたり、重要なのは人材です。自社と社会をトランスフォームしていくビジネスモデルの開発には社員の多様で柔軟な発想が不可欠です。研究開発投資の拡充と並行して、人材への投資、特に働く環境への積極的な投資を行っています。 新たな価値観と多様性をもった社員が、本来持つ能力を存分に発揮できる環境をいかに提供するかは、事理念/目次価値創造トップメッセージサステナブルな未来をつくる事業活動
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