Theme 2Theme 3共同印刷グループ コーポレートレポート202449中期経営計画簡素化したことにより、ポートフォリオ・マネジメントや会社の将来に向けたイノベーションやビジョンについて話し合う時間が増えてきました。それは、経営の目が今月の業績とか目先の執行ではなく、より中長期的な会社の行く末を担う経営の監督機能の方に向き始め、役割分担が徐々に進んでいるからだと思います。監督と執行を兼ねている取締役がいないという完全な体制にはまだなっていませんが、日本の企業の場合、完全な分離が難しい会社もたくさんあると思います。当社においても、社内の取締役が、今は事業を監督する立場として議論をしている、今はこの四半期の事業執行の話をしていると、意識して議論することが重要で、それがこの一年の大きな進化だと思いますね。内藤:月次報告の簡素化については髙岡さんが提案しましたね。それで中長期的なことを議論する時間も増えました。光定:取締役会は英語でDirectors Meetingですが、ディレクターとあるようにディレクションを決めるミーティングです。執行役員はCorporate Officerで日常的なオペレーションをマ内藤:昨年、資本コストを意識した経営をめざして投資審査委員会が発足しましたが、いかにこれを生かしていくかが課題ですね。光定:投資審査委員会では、まず過去の投資案件の分析をきちんと行っていくことが大事です。投資は成功ばかりでなく失敗もありますから、失敗なら失敗で、どこでどう失敗したのか、意思決定の時期は合っていたのか、最終的には撤退という形を決断するのか、取締役会ではそういった議論をしていかなければなりません。それを取締役会だけが認知するのではなく、組織の集合知にしていくことで成長につなげている企業はたくさんあります。もちろん一回ではなかなか変化しませんが、繰り返し行っていくことで資本コストへの意識が徐々に変わっていくと思います。髙岡:その点でいうと、当社は現中期経営期間からROIC経営の考え方を取り入れて事業部ごとのROICを算出し、投資効率を考えてきました。一方で、将来の成長性をめざしポートフォリオを大きく変えなければならないという課題に向け、新規事内藤:先日、機関投資家や株主との対話から得た指摘事項を集約して、報告いただく機会がありましたけど、それも同様で、我々だけで議論するのではなく、各部門にも課題を共有して改善への意識を持ってもらわないといけないと思いました。財務戦略事業戦略サステナビリティネージする役目で、取締役は会社の大きな方向性を考えることが本来あるべき機能です。機能分離に関しては、3年前と比べて着実に良い方向に変わってきていると感じます。髙岡:そうですね。意思決定機能と監督機能が強化され、より高度なガバナンスが効くようになったというのは社外取締役全員の意見だと思います。業を立ち上げていかなければなりません。その際のROICのマイルストーンがまだ明確になっていないと思います。別な言い方をすると、これは事業の育て方を明確化することでもあります。例えば、最終的には8%のROICで計画するが、新規事業を始めドルレートを変えていくことは、育て方自体を変えることにもつながります。光定さんのおっしゃるように、撤退の基準も明確ではないので、今後はそこを徹底できると良いと思います。 現状では、当社は静学的なROICの使い方に留まっており、これを動学的に活用していければ、ダイナミズムを生み出す内藤:まったく同感です。例えば、情報コミュニケーション事業の収益が良くないという課題に対し、従来であれば、さらなる効率化を図り、コストを削減して頑張りますといった結論になっていましたが、今は、いつまでにどのくらい、どの分野に投資して資本コストを見ていこうという話に変わってきていますよね。それは良い変化だと思います。光定:昨年から、特定のテーマを審議する討議役員会ができるなど、一つのテーマに関して皆でどうしたら、これを変えてけるだろうかと議論できる時間が取れるようになり、このような枠がまずできたこと自体が第一歩だと思います。データ集て4年目まではそれが3%ぐらいでもいいといったことです。ハーROIC管理に近づけると思います。静学的なROIC管理から動学的な管理に変えていくことでステージを上げられる経営層だけが理解するのではなく、会社全体が課題を共有すべき資本コストを意識した経営の進□機会投資家・株主との対話から得たことガバナンス
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