共同印刷グループ コーポレートレポート2024
52/68

Theme 4理念/目次できますから、社員と経営陣との間のエンゲージメントを高める方法はたくさんあると思います。 実は昨年、私たち社外取締役が、若い社員と一緒に別の会社を訪問する企画がありました。その企業の一つは、社長が毎週月曜、ランダムに社員とWeb会議システムを活用して個別に直接会話をし、今こう思ってるといったことを伝えているそうで、そんなことができるといいなと思います。内藤:当社の場合、なかなか階層を超えて意見が言えないという風土があります。光定:それは感じますね。だからこそ、まず上が階層を飛び越えて社員全員にアプローチするという試みが有効だと思います。髙岡:取締役会チャンネルを作り、全社にライブ配信できたら良いのですけどね。守秘義務があるから実現は難しいですが。取締役会ではないですけど、経営層が直接、配信する機会を設けている会社は結構ありますし、「今日の社長ボイス」などをやっても構わないと思います。かしこまらずに社長が普通の言葉で経営戦略のポイントなどを共有して「みんな、頑張ろう!」と伝えれば、社員の皆からも声が出てくると思います。内藤:同感です。やはり上の階層から進んで壁を取り払う努力をすべきですよね。社員が頑張るには、自分が社長から期待されていると実感することが重要です。経営層と社員がめざす姿や課題、方針などを共有・共感できれば、個々の社員は皆さん優秀ですから、この会社は大きく成長すると思います。髙岡:当社の場合は、執行役、取締役への女性登用をもっと進めたいけれど、その人材プールに人がいない。つまり部長、課長、係長に女性が非常に少ないので、現在はそこを溜めている段階ですね。女性管理職比率は10年前から比べると大きく伸びて、昨年は9%にまでになりましたが、今後も女性管理職の比率は上げていかなければなりません。内藤:女性が増えると会社はすごく変わります。外国たばこの事業会社の経営をしていた時は、女性の社員の比率が高いところは明らかに業績が良かったです。組織も元気になるし、いろトップメッセージ価値創造Web会議ツールを使って、複数の方に向けて直接話すことが髙岡:当初は株主や投資家の方々から、どういう指摘をされているのかを、独立役員会で報告してもらったのですが、我々で議論した後、取締役会において全取締役と執行役員にフィードバックをしてほしいとお願いしました。というのは、各役員は自部門に向けられた投資家からの指摘についてはよくわかっても、自部門以外への指摘内容はわかっていないのではということが問題だったので、皆に共有して欲しかったのです。内藤:何ごとにおいても上層部の一部や特定の部門長だけは知っているけど、全体に浸透していかないというのが当社の課題ですね。私は社長をはじめとする経営層が事業部や拠点を回って、直接社員に伝えることが一番良いと思います。光定:伝言ゲームのようではいけませんよね。直接、取締役会の場にいた方が生で感じたことをダイレクトに部長、課長、一般社員、全員に話したほうがより伝わると思います。今は内藤:市場環境の移り変わりが早くなる中で、新たなビジネスモデルに挑戦し、企業が持続的に成長していくためには、さまざまなタレント性や価値観を持つ人材の多様性が必要になってきます。企業の変革には、意思決定をする管理職などの中核人材にこそ多様な価値観を持った人材が求められるのです。というのも、特定のビジネスモデルに特化した人員構成では、将来のビジネス環境の変化に耐えられなくなってしまうからです。当社でも、今年私たちが言い続けてきた女性の執行役員が誕生しました。政府は女性管理職比率3割以上の指針を出しており、プライム上場企業には女性役員比率も同様の目標を掲げるように言われています。その一方で、当社の目標は2025年までに女性管理職比率10%以上となっていましたので、それはないだろうと意見をしていました。たしかに、人員構成上は男性主体の生産現場の比率が高いままで、長い歴史を経てきたため、そもそもの分母となる女性社員数が少なく、一足飛びにはいかない現場の事情があるのはわかります。ただ、それはどこも一緒で、まずトップが3割に持っていくという結論を示さなければ始まりません。こういうものは現場の中間層で議論してしまうと現実的な数字に落ち着いてしまうのです。ゲームチェンジした今の時代に稼げる、新たな事業ポートフォリオの構築へ社外取締役座談会50さらなる企業価値向上のために

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る