共同印刷グループ コーポレートレポート2024
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共同印刷グループ コーポレートレポート202451中期経営計画いろなアイデアが出てきます。髙岡:私は今、日本はゲームチェンジしたと思っています。日本は今後、金利のある世界に移行していきます。金利が上がれば円高方向にシフトして原材料価格や燃料価格が下がり、原理的にはコストプッシュインフレは収まるはずです。しかし、これだけ働き手が不足し、また、働き方に関する規制が強化されるもとでは人件費は上がり続けるでしょう。トータルすると、今後もインフレ基調は続くことが予測されます。これはつまり、デフレの三十数年からのゲームチェンジだと思います。共同印刷はこのゲームチェンジの世の中で、どういうポートフォリオを描くのか。そのヒントとなるのが、やはり顕著な地球温暖化、人々の健康意識の高まりや医療技術の進歩、人間らしい働き方などサステナビリティの観点だろうと思います。サステナビリティに注目し、インフレ負けしない高付加価値な製品・サービスを開発すること、すなわち、どういうビジネスポートフォリオならゲームチェンジした世界で稼げるのかが重要です。光定:現中期経営計画は2024年度が最終年度ですので、次の中期経営計画の策定に入っています。最大の難関は、収益がとれる案件と、とれない案件の線引きです。資料を見てもわからない部分を明確にして、適正なプライスの基準設定を行っていく作業です。 あとは、人財といいますけど、人は宝です。優秀な人が多いので、若い人たちから結構いいアイデアが出ているので、それをビジネス化していくことを本格的に考えていかなければと思います。髙岡:人材はとにかく大事だと私も思います。当社よりもさらに人材不足に危機感を持っているのは、小売、飲食、物流などのエッセンシャルワーカーが多い産業だと思います。人の手を多く求められる食品加工工場も人手不足です。かつて工場を買収する際は、人はいらないが設備だけ欲しいという時代もありましたが、今は人も移籍することを条件とする買収が増えています。共同印刷でも良い人材が集まらなくなるという危機感は当然あると思います。ビジネスが魅力的、給料が高いなど、会社の魅力をしっかりと確立してアピールしていかなければ、会社の競争力を維持するのが難しくなります。光定:今いる人たちの力をより大きく生かしていくことも重要です。そもそも若手社員と我々が会社訪問する企画は、我々社外取締役が、若手と対話する機会を設けましょうという文脈で始まったのです。他にもそういう場があってもいいですよね。内藤:社員と関わっていくのは楽しみですね。冒頭に申し上げたように、社員一人ひとりが自由な発想で考え、自分の言葉で考えを伝えられるようになれば、まちがいなく会社は良くなると思います。私たちも、そういう企業風土の醸成に貢献したいと思います。そうすれば、マテリアリティに掲げた財務戦略事業戦略サステナビリティサステナビリティの目標も当社の強みになっていくと思います。光定:今取り組んでいるビジネスモデルの変革は、非常に大きな変革で、印刷自体をメインの事業からメインでない事業にチェンジすることだと思っています。会社をそこまで大改革するには、それぞれの立場の人が、それぞれの役割を理解して果たしていかなければなりません。現状を打破できないのは、特にミドルクラスの人が、ミドルクラスの仕事をしていない可能性が高いのです。私から見て当社の力が弱いと感じる部分は交渉力です。真面目過ぎて相手のいうことを聞きすぎてしまいますので、そこは最優先で変えていくべきでしょう。もう一つは、例えば若手や女性をどんどん登用して若い人中心の部門を作るなど、現場の社員がストレートに上層部にものがいえるような組織形態を作ることにトライしてはどうかと思います。髙岡:企業価値向上というと日本企業は構えてしまうことが多いですが、実はそんなに離れ業のような手法はなく、地道に既存ビジネスの利益率を上げていくことなのだと思います。共同印刷は、BtoBかつ受注型なので、チャネルパワーが強くありません。光定さんのいうようにお客さまの言うなりになりがちで、そこを変えていかない限り、いくら良いものを開発しても、「もう少し安くできるでしょ」というパターンから脱出できず、利益が削られてしまいます。イノベーションによって他にはないオンリーワンのものを作ることができれば、そういったプロセスから抜け出せるので、研究開発に関しては投資を大きくしてくべきだと思います。それをテコに、他にないビジネスモデルをつくり上げて競争優位性を確保し、買い叩かれない、買い叩かないモデルを実現して利益率を上げていきたいです。それとともに、お二人が言うような新しいビジネスの軸を作っていかなければなりません。ビジネスは新陳代謝しているので、常に作り続けていけるように人材を活用していくことが重要になるでしょう。 そして、自社の実績や強みをステークホルダーに大いにアピールして、株を買ってもらい、時価総額を上げる。これはいかにも王道ですが、そこを地道にやってくしかないと私は思っています。共同印刷には潜在能力があるので、企業価値を大きくしてステークホルダーの期待に応え、社員みんなの幸せを確保していくことに、今こそ頑張らねばと思います。データ集ガバナンス

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