共同印刷グループ コーポレートレポート2024
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4理念/目次価値創造します。また、教育の多様化が進み、裾野が大きく拡がっていることも後押ししています。我々は、さまざまな教育コンテンツへのアクセスを支援する「YorisoWel(ヨリソウェル)」をすでにスタートしています。このような多様な「まなび」に対するニーズは社会人にも拡がっており、人材の流動化が進み、会社を退職して新たなスキルを獲得して転職する、あるいは育児休業中の社員がスキルを身につけて職場復帰時にキャリアアップするといったケースが当たり前になってきています。当グループでは、育休取得者向け教育プログラム「TriAnchor®(トライアンカー)」や、講師キャスティングプラットフォーム「Waccas(ワッカス)」など、現代の働く人たちのキャリアライフを支援するサービスを始めています。これらはまだ「まなび創造プロジェクト」の第一段階に過ぎません。私たちは、今後も求められているところに価値のある情報を届ける提案を行い、新たな市場を創出していきます。それこそが共同印刷グループの使命であり、生きる道であると私は考えています。 コロナ禍の2021年度にスタートした中期経営計画では、「既存事業の事業基盤強化」、「新規事業領域の探索」、「環境戦略」、「人材戦略」、「経営管理機能強化」を5つの重点テーマにし、2023年度には「サステナビリティ経営の推進」を加え、配当性向30%以上、ROE5 %、営業利益38 億円の目標を掲げて施策を推進してきました。2024年度は中計の最終年度となりますが、営業利益については出版印刷の想定を上回る減収、原材料、エネルギー価格高騰によるコスト増の価格転嫁の一部に遅れが生じている状況を総合的に勘案し、2024年5月に当初目標を変更し、31億円へ下方修正することが適切と判断いたしました。ただし、各施策への取り組みは進んでおり、次期中期経営計画での大きな飛躍に向けた準備は整いつつあると捉えています。 BPOのビジネスモデルでは、従来は企業が行っていた業務を、データの扱いに慣れた当社が代行するといった単純なアウトソーシングサービスを提供していましたが、現在ではお客さまがデータを利活用するための付加価値をつけてお返しするという、オンリーワンのサービスを提供できるようになってきました。また、「まなび創造プロジェクト」のように、川上に立って、自らコンテンツなどを生み出していく提案型のビジネスモデルに挑戦する動きが若い世代を中心に広がっているなど、組織風土のトランスフォーメーションも確実に進んでいると評価しています。研究開発においては、世界的なサーキュラーエコノミーへの潮流に合わせ、ラミネートチューブをはじめとするパッケージの環境性能向上に向けた開発に注力するとともに、これまで世の中に存在しなかった新しい機能をもつ新素材の開発にも成功しています。これらをいかにタイミング良く世の中に出していくかが目下の大きな課題となりました。社内的には2023年4月に発足したDX推進室を中心に営業、生産、業務の3つの切り口で社内のプロセス改革に着手しました。営業部門は顧客接点の改革、生産部門はスマートファクトリー化、業務部門はAIなどを活用した業務効率向上をめざしていますが、いずれの側面でも重要となるのは、いかに社会に価値を提供して人々の生活に豊かな変革を起こして、喜んでいただけるかだと私は思っています。我々がこうした取り組みを通じてめざしているのはポートフォリオの改革です。会社の平均寿命が一般に30年といわれている中で、創業から127年経った当グループが、社会との関わり方を大きく変える時がまさに今なのだと思っています。 労働人口は急速に減少しており、2040年までに1000万人、2050年にはさらに1000万人以上減るという統計もありますが、そのような社会では一人ひとりの生産性を高めていかなければなりません。BPO事業を扱うデータセンターはすでにアウトソーサーとして多能集団の強みを持つようになりましたが、人手不足という社会課題を解決するために新たな事業を生み出していこうとしています。印刷会社としてお客さまの情報をお預かりして加工してきた我々には、すでに優れたアウトソーサーとしての経中期経営計画(2021〜2024年度)の進□次期中期経営計画の策定トップメッセージ

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