文化財レプリカ、複製画の制作

日光山輪王寺の別院である中禅寺五大堂に飾られている両界曼荼羅《胎蔵界曼荼羅》《金剛界曼荼羅》掛軸2点のレプリカを制作しました。レプリカの制作にあたっては、作品の撮影から原画との色合わせ、素材の選定、表装にいたるまで、日光山輪王寺宝物殿の全面的な監修のもと非常に慎重な作業が続きました。細部にわたる色調調整、素材感の表現など、原画の雰囲気を損なわないよう試行錯誤を重ね、完成したレプリカには高い評価をいただきました。奥日光中禅寺湖畔という気温や湿度の変化が厳しい環境に立地する中禅寺五大堂に飾られてきた本原画は日光山輪王寺宝物殿に収蔵され、今後は本レプリカが飾られます。

公益財団法人横山大観記念館が文化庁より委託を受け実施した「博物館等の国際交流促進事業（実施事業）」に協力し、横山大観《阿やめ》クロード・モネ《睡蓮》の原寸レプリカを制作しました。原画と異なり持ち出しが容易であるというレプリカのメリットを活用し、事業においては、海外美術館との交流の場に持参・展示したり、国内でのワークショップといった教育活動にご活用いただきました。　

長野駅の東口と善光寺口を結ぶ東西自由通路の吹き抜け上部を飾る壁画作品として、長野県立美術館が所蔵する東山魁夷作「静映」を基にしたパネルを制作しました。 美術作品のパネル加工に用いられる「フォトアクリル加工」を施した縦2ｍ、横10ｍの大型パネルです。長野県県民文化会館（現 ホクト文化ホール）の緞帳原画を依頼された東山画伯が「長野県の人々に親しみ深い風景を」と描いた風景が、新たな形で信州の玄関口を彩っています。