STORY 05
【環境包材編】
パッケージ技術で、
未来を支える!
持続可能性が叫ばれる現在、「パッケージの環境対応」が世界レベルで活性化しています。
共同印刷も独自技術を用いた製品開発を通じてこの動きを支えていますが、
そこにはさまざまな難しさがあるようです。
今回はそうしたテーマに向けた取り組みを、営業担当と開発担当に伺いました。
PANELISTお話ししてくれた人
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Ayumu Sasaki
共同印刷株式会社
生活・産業資材事業本部 包装事業部
営業1部1課佐々木 歩
2010年入社。紙器・軟包装などの営業を担当。
(株)ニップンと「紙仕様パッケージ」の共同開発に取り組む。現在は技術開発本部と共に、フィルムレス紙包材を開発中。 -
Takashi Yokoyama
共同印刷株式会社
生活・産業資材事業本部 L&I事業部
営業1部 部長横山 隆志
1997年入社。入社以来、トイレタリー向けラミネートチューブなど、包装関連の営業を担当。近年は環境に配慮した容器の開発・提供に取り組んでいる。
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Masa Taniguchi
共同印刷株式会社
技術開発本部 副本部長谷口 昌
1997~2009年、化学製品メーカーで電子分野向け高機能フィルムおよび製紙用化学薬品の開発に従事。2009年入社。技術開発本部で機能性フィルムの開発・製造に携わる。2020年、守谷第二工場長に。2022年より技術開発本部に戻り、包装全般の開発をトータルにマネジメントしている。
国内で印刷会社がパッケージを製造している理由は…
今回は「共同印刷の環境配慮パッケージ」をテーマにお話を伺いますが…その前に、違う質問をさせてください。カップ麺の容器やフタ、歯みがき粉のチューブといったパッケージの多くを、共同印刷はじめ大手印刷会社がつくっているんですよね。
谷口
そうですね。それが一般的です。
なぜパッケージを、印刷会社が製造するようになったのでしょうか。印刷会社がプラスチックなどを加工するのは、ちょっと不思議な感じがします。
横山
共同印刷では昭和初期、1930年代から化粧品やお菓子、薬品向けの紙箱の製造を開始しています。印刷は「商品の情報を伝える」ことが主な役割でしたが、次第に「中身を守る」という機能まで任されるようになり、パッケージの材料も紙からプラスチックへと広がっていきました。今では素材から取り扱い、高度な技術を必要とするパッケージを製造しています。
谷口
パッケージで最も重視されるのは品質保持の機能ですが、一方で、中身が何なのかを消費者に伝える情報メディアという側面も強いんです。商品名、ブランドイメージ、成分、使い方など、伝えるべきことを的確にまとめて、安心して気持ち良く使ってもらえるようにする使命があります。「伝える」は、印刷会社の得意分野ですからね!
なるほど。納得できました。
佐々木
そしてパッケージは今、環境に配慮するための技術がどんどん進化しています。今日は私たちが開発などを担当したパッケージ商品を、いくつかお持ちしています。
「持続可能性」におけるパッケージの役割は大きい
最近は消費者もメーカーも、環境意識が高まっていますね。
横山
そうですね。商品における持続可能性が、より重視されるようになりました。しかし、そもそもパッケージは、エコな素材を使う・使わないに関わらず、持続可能性の向上には欠かせない存在なんです。
どういうことでしょうか。
谷口
パッケージには、中身を守るという機能がありますよね。もしこの機能が不十分だったら、どうなると思います?
すぐ劣化して中身が使えなくなって…。
佐々木
そうです!パッケージの品質保持機能が高ければ、フードロスの削減にも役立ちますし、トイレタリーなら最後まで良い品質のまま使い切ることができます。こういった点が、持続可能性の向上にパッケージが重要な役割を持つ理由です。さらに最近は「パッケージの素材や原料をどうやって環境にやさしいものにするか」という問題に関心が集まるようになりました。
横山
私の部署が担当するラミネートチューブも、佐々木の部署が作っている食品の軟包装も、プラスチックを多く使用します。しかし、現在は世界全体がプラスチックの使用量を減らす方向に向かっていますから、パッケージ業者としては、代替材料を探すか、廃棄量を減らすためにリサイクルしやすい製品にする必要があります。
谷口
法整備も進んでいますよね。2022年に施行されたプラスチック資源循環促進法によって、パッケージなどのプラスチック製品は、資源の循環や排出の抑制が求められるようになりました。
横山
そういった背景から、食品メーカーやトイレタリーメーカーといった当社のお客さまの多くが、環境に配慮したパッケージの採用に、真剣に取り組むようになりました。それを当社が開発面などから支えているわけです。
環境配慮パッケージ①「紙ラミネートチューブ」
それでは、共同印刷の環境配慮パッケージを紹介してください。
横山
一つ目は「紙ラミネートチューブ」。チューブの胴体はいくつかの素材が積層されているのですが、その中間層にクラフト紙を使っています。
おお、これは店頭で手に取りたくなりますね!
横山
パッケージにはFSC認証※1のマークを記載できます。ハンドクリームや洗顔料、調味料などへの使用を想定して開発しています。
中身の品質保持性は大丈夫ですか?
横山
問題ありません。実は、ラミネートチューブに紙を積層するのは約30年前に確立された古い技術なんです。それを環境配慮の視点からアレンジした、という感じですね。
※1 FSC認証:環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林から生産された林産物や、その他のリスクの低い林産物を使用した製品に与えられる認証制度。
環境配慮パッケージ②「紙仕様パッケージ」
では、二つ目をお願いします。
佐々木
次は私から。「紙仕様パッケージ」。紙仕様の食品包装です。これも紙ラミネートチューブと同様、FSC認証紙を材料に使っています。(株)ニップンさまと共同開発しました。
これも一目見て、紙を使っているとわかりますね!エコな感じだし、売り場では目立ちそうです。
佐々木
紙の重量比が50%以上なので、容器包装リサイクル法の「紙製容器包装」に分類されます。
プラスチックの使用量が大きく減る、ということですね。
環境配慮パッケージ③「フィルムレス紙包材」
もう一つ、ご紹介いただける商品があるんですよね。
佐々木
最後も私が説明します。「フィルムレス紙包材」です。
これも「紙」ですね。
佐々木
現在流通している紙仕様のパッケージは多くの場合、紙とポリプロピレンやポリエチレンなどのプラスチックフィルムを貼り合わせて製造しますが、そのプラスチックフィルムをなくしてしまったのがこの商品です。ほぼ100%紙で作られているので、「紙」としてリサイクルできます。プラスチックだけでなく、製造時のCO2排出量も大きく削減できるんですよ。樹脂をコーティングしているので、ヒートシール※2も可能です。
なるほど、これもユニークさがありますね!
※2 ヒートシール:接着剤を使わず、熱によってフィルム同士を接着させてパッケージを密閉する技術。
気になる方は「TOMOWEL NEXT PACKAGING」をチェック!
横山
今日は「紙」を使ったものをセレクトしてみました。いずれも見た目のインパクトが強いので、「環境に配慮している」というメッセージを強く打ち出せます。環境配慮パッケージへの第一歩を踏み出したいお客さまにオススメです。環境性の高いものはほかにもいろいろあるので、気になる方は当社の特設サイト 「TOMOWEL NEXT PACKAGING」 にアクセスしてみてください。
開発中のものもありますか?
谷口
たくさんあります!詳しくは言えないのですが、「リサイクル」をテーマにしたものが、もうすぐ実用可能という段階まで来ています。
それも楽しみですね。
過去の技術が、現在になって生かされることも
環境配慮パッケージは、どのように開発しているのですか。
谷口
一言ではちょっと…というくらい、本当に難しいんです。例えば、単純にプラスチックを紙などの代替素材に置き換えるだけでは、中身の品質保持が難しい場合があります。最近は「モノマテリアル」といって、単一の素材を使うことで分別やリサイクルをしやすくしたものが注目されていますが、この場合でも回収・再資源化のための循環システムを作らないと、真の効果は発揮できません。製造時や回収時のCO2排出量にも配慮する必要がありますし…試行錯誤が続いていますね。
横山
実は当社は何十年も前から環境配慮パッケージに取り組んでいるんです。パッケージ業界には、これまでに何度も環境ブームが来ていて、以前からチャレンジは続いています。
そうなんですか?驚きました…ここ数年の、急な動きなのかと思っていました。
横山
感覚的には、10年おきくらいにブームが来ています。ただし今回は一過性のものではなく、永続していくと思います。
過去にも実用化された技術はあったのですか。
谷口
はい。良い技術が生まれることはたくさんありました。でも、コストや製造のしやすさ、そして食品メーカーなどのお客さまの関心度やニーズなどの問題で、お蔵入りになったものもあります。
横山
しかし、その「技術の在庫」みたいなものが、今になって問題が解決されて商品化できることもあるんです。
佐々木
お客さまや消費者の理解度が以前より高くなっている点も、追い風だと思います。以前は共感していただけなかったものが、今は受け入れられたりしますからね。
循環型社会に必要なのは「共に」の姿勢
今後、共同印刷の環境配慮パッケージはどんな方向に向かうのでしょうか。
谷口
社内で検討を重ねている最中です。ある特定の技術や素材に特化した方がいいのかもしれませんし、逆に、さまざまな技術を幅広く持った方が、社会全体の役に立てるという考え方もあります。
悩ましいですね。
佐々木
先ほどご紹介した「紙」のパッケージは、紙の扱いが得意な当社らしい技術ですが、この技術だけではお客さまのご要望に応えきれないケースもありますから。
横山
なので、仲間づくりも大切だと考えています。
どういうことでしょうか。
横山
当社単独でゼロから開発することにこだわらず、外部のパートナー企業と積極的にコラボすることで、ご要望に応えられるようにしたいと考えています。A社にない技術がB社にはある、といったことが非常に多い世界ですからね。
谷口
それに「サーキュラーエコノミー」を実現するには、当社だけでは困難ですから。パッケージを資源として回収するシステムや、再資源化の技術を持った企業などの存在が不可欠です。
なるほど。得意領域の異なる企業同士や自治体が協力しあえば、循環型社会が実現できるということですね。
横山
そのためにも、お客さまの意志や方針などに寄り添いつつ、当社としてはパートナー企業と共に、さまざまな挑戦を続けたいと思っています。
まさに、TOMOWELのメッセージ「共にある、未来へ」ですね。
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