オキシキャッチ®が宇宙実験試料の梱包・保管材に採用 国際宇宙ステーションから帰還、能力を発揮
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国際宇宙ステーション(以下、ISS)の「きぼう」日本実験棟※1で行われた材料曝露実験※2試料向けの梱包・保管材として採用された共同印刷株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:藤森 康彰)の酸素吸収フィルム「オキシキャッチ®」が、宇宙曝露実験の完了に伴い、本年3月に地上で回収されました。国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の実験チームによる検証の結果、その能力を発揮して低酸素状態を維持したと評価されました。

「きぼう」ロボットアーム先端の子アームによって把持された簡易曝露実験装置が、「きぼう」船外実験プラットフォーム上のハンドレールに設置される様子(撮影日:2015年11月12日、写真提供:JAXA/NASA)
当社は、独自技術で生み出した機能性フィルムを多数提供しています。そのなかから、水分を使わずに酸素を吸収できる「オキシキャッチ®」が、「きぼう」の船外実験プラットフォームにおける長期曝露実験のひとつである、JAXAの「次世代ソーラーセイルに向けた高機能薄膜デバイスの宇宙環境影響評価(Solar Sail)」実験において、曝露実験試料の梱包・保管材として採用されました。これは、酸素吸収に水分が不要で低湿度環境でも使用できる点と、フィルム形状のため粉末が飛び散らない点が、ISS船内での使用に適していると評価されたためです。
梱包・保管材は2015年8月の打ち上げ前後の約3カ月間と2017年3月の回収運用前後の約3週間にわたり使用されました。その間、酸素が試料に与える影響を防ぐことが求められましたが、ISS船内およびJAXA筑波宇宙センターにおける開封と検証の結果、機能を十分に発揮して低酸素状態を維持し、酸化による試料の状態変化を防いだことが認められました。現在、実験チームによって試料の分析が進められており、その成果が期待されます。
当社は今後も高機能フィルムのラインアップ拡充を図り、生活・産業資材系事業の発展に努めていきます。
※1 JAXAが開発・運用する日本初の有人実験施設。世界15カ国が協力して建設したISSにおける最大のモジュール
※2 実験対象の材料を、高真空で熱変化が大きく宇宙放射線が降り注ぐ宇宙環境に長期間さらして(曝露)受ける影響を調査し、
より高機能・高性能な材料や耐宇宙環境材料の開発に役立てるための実験
▼4月5日に地上で行った開封作業時に撮影。オキシキャッチは酸素吸収にしたがい濃紺から淡黄へ変化するため、写真②の色調から、梱包材内部での酸素吸収能力が残っていることがわかる。(写真提供:JAXA)
①開封前の状態

②梱包材でくるまれた内容物(左)と保管用の袋を開いた様子(右)

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