マテリアリティ
マテリアリティの特定
生活者の価値観の変容、都市化の進行、気候変動をはじめとする環境課題など、社会は大きな転換期に入っています。印刷業界でも急速なデジタルシフトへの対応などビジネスモデルの変革が迫られています。このような中、当グループでは人や社会、環境の変化にしなやかに対応し、共に成長を続けるサステナブル企業をめざし、経営の重要課題の特定に取り組んできました。2022年9月には2030年をターゲットとした長期的視野にもとづき、中長期的な価値創造能力に重要な影響を与える6つのマテリアリティ(経営の重要課題)を特定しました。自社の競争優位な資源を活用し、成長投資を進め、社会課題から新たなビジネスモデルを創出することで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざしていきます。
マテリアリティ特定のプロセス
マテリアリティ特定のための事務局としてサステナビリティ推進チームを立ち上げ、外部アドバイザーの知見を得ながら、各種ガイドラインやフレームワークなどをもとに課題をリストアップしました。リストからの絞り込みは、社会への影響を考慮しつつ、中長期的な価値創造能力に重要な影響を与えるものから優先順位づけを行いました。その間、各事業部門やコーポレート部門の意見も参考にしながら、常務以上の執行役員を含めた経営執行会議や取締役会にて議論を重ねて、草案を作成。草案をもとに有識者と経営層との意見交換を通じて、外部からみた客観的視点による妥当性の検証も行い、取締役会で決議しました。
重点取り組みテーマとKPI
各マテリアリティにおいて重点取り組みテーマとKPIを設定しています。取り組み状況はサステナビリティ推進会議や取締役会で定期的にモニタリング・評価を行い、今後の取り組み強化につなげていきます。
価値創造領域
マテリアリティ | 重点取り組みテーマ | KPI | 2023年度実績 |
---|---|---|---|
多様なライフスタイル ~情報コミュニケーションで、豊かさと幸せを実感できる暮らしをつくる |
誰もがやりがいをもって働ける環境の提供 | スマートな働き方支援ソリューションの提供数(2030年度までに300社以上) | サービス開発およびテストマーケティングの実施、営業体制の整備 |
誰もが自らが望む形で生涯学び続けられる機会の提供 | 生涯学習向けソリューションの提供数(2030年度までに250社以上) | 外部提携によるノウハウ獲得および市場調査の実施 | |
多様なライフスタイルに合わせたさまざまな体験価値の創出 | 体験価値創出ソリューションのコンテンツ数(2030年度までに400本以上) | コンテンツ事業拡充に向けた企画体制の整備 | |
スマート社会 ~情報セキュリティで、誰もが安心・便利な社会をつくる |
いつでもどこでも簡単に手続きや決済が可能な環境の提供 | 次世代金融ソリューションのサービスラインアップ数(2030年度までに5本以上) | 2本 |
いつでもどこでも簡単に行政手続きが可能な環境の提供 | スマート自治体向けソリューションの提供数(2030年度までに導入自治体数20以上) | 3団体 | |
すべての人が健康に暮らせる社会への貢献 | ヘルスケアソリューションのサービスラインアップ数(2030年度までに10本以上) | 3本 | |
循環型社会 ~革新的なパッケージとサービスで、サステナブルな未来をつくる |
環境配慮製品の提供 | 環境に配慮した包材・容器の売上高比率(2030年度までに100%) | 38.7% |
資源循環システムへの貢献 | プラスチック資源循環システムの構築(2030年度までにPIR※確立とリサイクル材の本格的利用開始) | 使用済みプラスチックの再資源化事業への参画 | |
フードロスの削減に貢献 | 食品向け包材・容器におけるフードロスソリューションパッケージの売上高比率(2030年度までに20%以上) | 9.9% |
- ※PIR(ポストインダストリアルリサイクル):市場に出る前の製品製造工程で発生した廃棄物をリサイクル・再利用すること
経営基盤領域
マテリアリティ | 重点取り組みテーマ | KPI | 2023年度実績 |
---|---|---|---|
地球環境との共生 | 気候変動の緩和と適応 | GHG排出量削減率(2030年度までに2022年度を基準とし42%以上) | 14.7% ※1 |
生物多様性の保全 | FSC認証紙の調達率<重量ベース>(2030年度までに30%以上) | 22.1% | |
原材料木材の合法性が確認された用紙の調達率<購入金額ベース>(2030年度までに100%) | 76.2% | ||
価値創造人材の活躍 | ・多様な価値観の活用 ・価値創造人材の確保と強化 ・能力を最大限発揮できる環境の整備 |
女性管理職比率(2025年度までに10%以上) | 9.0% |
デジタル人材※2 比率(2030年度までにデジタルを活かせる人材15%以上、デジタルを作れる人材15%以上) | 教育コンテンツの展開およびスキルマップの策定、達成状況把握の仕組み作りを推進 | ||
男性の育児休業取得率(2030年度までに80%以上) | 94.6% | ||
年次有給休暇平均取得率(2030年度までに70%以上) | 68.5% | ||
責任ある企業行動 | 企業倫理と公正な事業慣行 | コンプライアンス教育の受講率(毎年100%) | 100% |
人権の尊重 | 人権教育の受講率(毎年100%) | 100% | |
人権デューデリジェンス(人権DD)の推進(2024年度までにDD体制の構築、以降人権DDを継続実施) | ・推進体制として「人権尊重分科会」を新設 ・人権項目を拡大した「グループサステナブル調達基準」を策定 |
||
情報セキュリティとプライバシー | 情報セキュリティ教育の受講率(毎年100%) | 100% | |
サイバーセキュリティ訓練の実施(1回/年) | 1回実施 | ||
統合的なリスクマネジメント | サステナブル調達アセスメントのサプライヤーカバー率<取引金額ベース>(2030年度までに90%以上) | 54.3% | |
リスクマネジメント活動の高度化(2030年度までにグループ重大リスク対応の有効性向上およびリスクマネジメント領域の拡大/全従業員のリスク感度向上) | ・全社リスクマネジメント(ERM)体制を再構築 ・経営層の討議等を踏まえ9つの重大リスクを選定し、対応策を策定・開示 |
経営基盤領域の各KPIの対象範囲は、共同印刷株式会社および国内の連結子会社とする。ただし、「GHG排出量削減率」、「人権デューデリジェンスの推進 」、「サステナブル調達アセスメントのサプライヤーカバー率」、「リスクマネジメント活動の高度化」については、海外の連結子会社を含む。なお、「FSC認証紙の調達率」、「原材料木材の合法性が確認された用紙の調達率」、「女性管理職比率」については共同印刷株式会社単体とする。
- ※1 データの一部に誤りがあったため、数値を修正しました。(2024/06/07)
- ※2 当グループのデジタル人材の定義
- ・デジタルを活かせる人材:ビジネスモデルやビジネスプロセスの変革をリードする人材
- ・デジタルを作れる人材 :市民開発者や部門アナリスト(各部門)、システム開発者やデータサイエンティスト(IT系部門)など